多摩区 中野島・登戸 ふじえ眼科

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3. 糖尿病網膜症

  前回は糖尿病についてお話しました。今回は、糖尿病の合併症「糖尿病網膜症」についてお話します。次回は最新の情報も入れて治療について話します。3回シリーズになりますが、最後までお付き合いください。

1) 糖尿病三大合併症

網膜症、腎症、神経症が三大合併症です。どうして網膜、腎臓、神経が障害を受けるのでしょう。糖尿病では、血管の中を、血糖値の高い血液が流れます。この状態が長く続くと体の中の細い血管から目詰まりをして、酸素不足になるのです。細い血管に栄養されている代表的な部位が網膜、腎臓、神経なのです。

2) 糖尿病網膜症

 いよいよ今回の本題に入ります。私達の目は、網膜が光や色を感じこれを脳に伝えてものを見ています。この網膜を栄養する血管は体の中で最も細い血管なので詰まりやすく、酸素不足になると網膜症を起こします。
 網膜症の進行は3段階に分かれます。

1. 単純期 : 網膜に小さな出血が見られます。(図1)
2. 前増殖期 : さらに出血が増え、白斑という白い斑点が出てきます。(図2)危険信号です。網膜に酸素が不足しているので、悪化を防ぐためにレーザー治療を行います。
3. 増殖期 : 失明の危険があります。レーザーでの治療は難しく、手術が必要になりますが、視力の回復はむずかしいです。(図4)

糖尿病網膜症 単純期 糖尿病網膜症 前増殖期 糖尿病網膜症 増殖期
図1 単純期 図2 前増殖期 図3 増殖期

実は、③の増殖期になるまで患者さんには視力低下の自覚症状は出ないため気づくのが遅れます。糖尿病の方は、視力低下がなくても年1回は眼科で眼底検査を受けてください。①の単純期ではまだ治療の必要はありません。②の前増殖期ではレーザー治療で進行を止めることができます。けれど、③の増殖期まで進行してしまうと、治療がとても難しくなるからです。

次回は、レーザー治療、硝子体手術、最新の抗血管新生療法についてお話します。
こぼれ話し

こぼれ話し:その1

フランス革命でギロチンの露と消えたマリー・アントワネット。彼女は糖尿病だったという説があります。ベルサイユ宮殿にはトイレがなく、庭で用を足してしまうこともしばしばあったとか。彼女のおしっこに蟻が群がっていたそうです。

こぼれ話:その2

中国は唐の時代、絶世の美女、楊貴妃がいました。玄宗皇帝は楊貴妃に心を奪われ政治がおろそかになり家来の安禄山に首都・長安を追われます。この安禄山が糖尿病だったようです。当時の長安は国際都市。安禄山は中東系の人で体重100kgを越えるような巨漢でした。
玄宗皇帝を追い出したのはよいのですが、すぐに謎の眼病になり失明し、結局、自滅してしまいます。糖尿病網膜症だったようです。

川崎市多摩区 ふじえ眼科 院長 藤江敬子 プロフィールはこちら

2010/03/15 更新
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