多摩区 中野島・登戸 ふじえ眼科

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91.網膜色素変性症

網膜には二つの視細胞、錐体細胞(色を感じる)と杆体細胞(明暗を感じる)があります。杆体細胞が障害され、数が減少していく先天的な病気が網膜色素変性症です。

1) 原因は?

 遺伝によるもので、日本では1万人に2人位の患者さんがいると推定されています。遺伝の形式は常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X染色体劣性遺伝がありますが、身内に患者さんが見当たらず、遺伝がはっきりしない方も大勢います。

2) どんな症状がでますか?

患者さんが受診するきっかけは、視力が落ちた(視力低下)、暗いところで物が見えにくい(夜盲)、見えない部分がある(視野狭窄)の3つが多いです。
杆体細胞は暗いところで目が慣れていく暗順応の働きをしています。網膜の周辺から杆体細胞の数が減っていくため、夜盲、視野狭窄が起こります。進行すると錐体細胞も障害されるため視力低下がおこります。

3) 診断をつけるには、どんな検査をしますか?

まず、眼底検査をします。杆体細胞が減った部分は特徴的な黒い「ごま塩状」に見えます。
視野検査(見える範囲の検査)をすると、進行とともに周辺から視野がせばまっていきます。

4)治療法は?

 残念ですが、現在の医学では根本的な治療法はありません。私は、紫外線による障害を避けるため、紫外線カットの保護メガネをすすめています。
網膜色素変性症は難病に指定されていて、難病の指定の申請をすると、助成が受けられます。これを利用していただいて、遮光メガネ、拡大読書器などを利用してもらいます。

網膜色素変性症の診断をするのは、辛いことです。患者さんはとても驚き、辛い思いをなさいます。ただ、この病気の進行はとてもゆっくりです。急に症状が進むことはありません。私はいつも、このことを一番時間をかけ、一番熱心に患者さんにお話ししています。


2017/7/5更新


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