184.健診で「目の異常」これは何?:①緑内障関連
会社の健康診断や人間ドックで目の異常を指摘されることがあります。何やら難しい漢字や聞いたことがない言葉が並んでいます。これはいったいどんな異常を指摘されたのでしょうか?
緑内障関連の異常、網膜の出血や変性、また異常を指摘されても治療の必要のないものがあります。今月から、シリーズでお伝えします。今月は、緑内障関連です。
「健診で異常を指摘されました」と言って、結果を持って受診する方を見て、一番、数が多いと感じるのが緑内障に関する異常です。キーワードは高眼圧、視神経乳頭陥凹の拡大、視神経繊維束欠損、乳頭出血です。
1)高眼圧
私たちの眼球は、適度な硬さ、弾力があります。正常な眼圧は10-20mmHgです。眼圧が高いと、視神経にダメージを与え、緑内障の原因となります。
このため、眼圧が20mmHg以上で、高眼圧を指摘されます。
ただ、眼圧が20mmHg以上でも、視神経や視野に障害がない方がいて、この場合「高眼圧症」として、治療はせず、経過をみることが多いです。
逆に、眼圧が正常値でも、視神経、視野にダメージが出る人もいます。これを「正常眼圧緑内障」といいます。
眼圧は、緑内障の一つのリスクファクターです。
2)神経乳頭陥凹の拡大
網膜には、物を見て脳に伝える視神経繊維があります。この視神経繊維が一つに収束し、ケーブルとなり、情報が脳の後頭葉に伝えられ私たちは色や形を認識します。このケーブルに収束した場所が視神経乳頭で、丸い形をしていて、生理的にくぼんで白っぽく見える部分があります。これが「視神経乳頭陥凹」です。
緑内障は視神経がダメージを受け、局所的に視神経繊維の数が減る病気で、その減少した部位に対応して、視神経乳頭陥凹の拡大が起こります。
3)視神経繊維束欠損
視神経繊維が局所的に扇状に数が減ると、眼底写真ではその部分が暗く見えます。これも緑内障のサインです。視野検査をしてみると、視神経繊維束欠損に対応して、視野異常が認められることも多いです。3)乳頭出血
これは正常眼圧緑内障のリスクファクターです。視神経乳頭から小さな線状の出血が見られますが、この出血は、現れたり消えたりで、たまたま健診の時にあたらないと、異常を指摘されることはありません。乳頭陥凹の拡大や繊維束欠損、視野異常を認める人は少なく、治療を迷うところです。私は、患者さんにリスクをお話し、治療希望の方は、点眼の眼圧下降薬を始め、経過観察を望む方は年1回の眼底検査、視野検査で経過を見ています。以上、4つの所見をお話しましたが、いずれも自覚症状はありません。これが緑内障の怖いところです。異常を指摘されたら、眼科受診をお勧めします。
(2025.6.11更新)