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192.アトピー性皮膚炎治療の今:診療ガイドラインを読んでみませんか

今月も眼科の話題から外れますが、アトピー性皮膚炎の治療の進歩をお伝えします。
アトピー性皮膚炎は、痒みのある湿疹ができ、症状の悪化、軽快を繰り返す病気です。痒いので掻く、すると痒みを引き起こす炎症物質のサイトカインが放出される、さらに痒いので掻く、この悪循環が繰り返されます。また、皮膚のバリア機能が低下して、乾燥や汗などが刺激となってまた痒い、となります。

患者数は厚労省の調査では約50万人ですが、医療機関にかかっていない人を含めると、もっと多いでしょう。重症ですと、痒みで夜も眠れない人もいて、患者さんのQOLを下げるとともに、社会的損失も大きな病気です。

12月に皮膚科の先生から、バイオ医薬品による最新のアトピー性皮膚炎治療の話を聞く機会がありました。その内容は二次転載ができないのでお伝えできませんが、2024年に改訂された「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」を調べてみました。先月、バイオ医薬品についてコラムを書いたのは、今月号で、アトピー性皮膚炎に使えるバイオ医薬品が次々と発売されていることを伝えたいためでしたが、ガイドラインを読み始めると、とてもためになるもので、これもあれも伝えたいと、冗長になりました。お付き合いください。

1)私が研修医の頃の治療

30年以上前のことになりますが、皮膚を清潔に保つこと、保湿をすること、ステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬内服が標準的な治療でした。

2)免疫抑制剤の登場

1999年、画期的な薬が登場します。タクロリムスという免疫抑制剤を塗り薬にした、プロトピック軟膏です。タクロリムスは臓器移植後の拒絶反応抑制や、リウマチなどの自己免疫疾患と治療に用いられています。
さらに2020年、デルゴシチニブという薬がコレクチム軟膏として登場しました。この薬は、炎症を引き起こすヤヌスキナーゼという酵素を阻害することで免疫反応を抑えます。

3) アトピー性皮膚炎の診断治療アルゴリズム

「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」はインターネット上で閲覧できます。この病気で辛い思いをしている患者さんに是非見て欲しいのが20ページに載っている「アトピー性皮膚炎の診断治療アルゴリズム」です。フローチャートになっています。
まず、きちんと診断を受け、自分の重症度を知る。次に治療のゴールを皮膚科や小児科の先生と相談する。アトピー性皮膚炎は悪化、軽快を繰り返し、完治が難しい病気なので、ゴールを設定して治療に取り組むのは、励みになると思います。治療を続け、寛解(症状が軽快しそれが維持できる)したら、その治療を続けていく。皮膚科の先生や看護師さんに聞くと、忙しくて薬をもらいに行く暇がなく、薬が切れたら症状が悪化してしまった患者さんが少なくないそうです。


4) 治療方法

ガイドラインに載っているものを列挙しますが、それぞれに副作用もあるので、皮膚科の先生と相談して使用してください。

①抗炎症外用薬
ファーストチョイスは外用薬です。ステロイド軟膏、タクロリムス軟膏(プロトピック)、デルゴシチニブ軟膏(コレクチウム)、ジファミラスト軟膏(モイゼルト)などです。

②抗炎症内服薬
外用薬でも症状の軽快が難しい患者さんは、免疫抑制作用のある薬を使います。シクロスポリン、バリシチニブ、ウバダシチニブ、アブロシチニブなどです。

③生物学的製剤
実は、「今、治療はこれほど進歩しています」と生物学的製剤を紹介したくて、今回のコラムを書き始めたのですが、脱線の方が多くなりました。
デュピルマブ:皮下注射、小児にも適応が認められました
ネモリズマブ:皮下注射
トラロキヌマブ:皮下注射
レブリキズマブ:皮下注射
これらの製剤の投与には、7~8年の皮膚科臨床やアトピー性皮膚炎の臨床研究を行っているという厳しい施設基準があります。

5) クリニカルクエスチョン:エビデンスを大切に

54ページからは、エビデンスに基づいたクリニカルクエスチョン38項目が掲載されています。
A(高い):結果はほぼ確実であり、今後研究が新しく行われても結果が大きく変化する可能性が少ない
B(低い):結果を指示する研究があるが十分ではないため、今後研究が行われた場合に結果が大きく変化する可能性がある
C(とても低い):結果を指示する質の高い研究がない
の3つの評価でクエスチョンに答えています。目から鱗が落ちるような内容もありました。

このガイドラインには、外用薬をどれくらいの量で塗ったらよいかの記載もあります。
100ページを超えるものですが、専門知識がなくても理解できる内容が多くあるので、アトピー性皮膚炎で悩んでいる方には斜め読みでも良いので、一読をお勧めします。


(2026.2.4更新)


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