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197.ドライアイに第4の選択肢:アバレプト点眼液

パソコン作業を続けていると、目の乾き、異物感、かすみを自覚します。目は涙の膜で守られています。涙液層は油層と水の層、2層からなりますが、ドライアイは涙液層が不安定で乾き、かすみといった症状が起こります。
従来、ドライアイの治療には、ヒアルロン酸ナトリウム、ジクアホソル、レバミピドの3種類の点眼が使用されましたが、この春、第4の治療薬となるアバレプト点眼液(モツギバトレプ)が発売されました。
今までの3種類の点眼液の働きと、従来の目薬とは異なる「痛みのセンサーを和らげる」アバレプト点眼液の働きをみていきましょう。

1) ヒアルロン酸ナトリウム

保水効果と角膜上皮の保護作用、角膜の傷の治療促進、この3つの作用があります。
ヒアルロン酸は美容液の成分にもなりますが、これ自体が水分を保つ保湿効果があります。
またフィブロネクチンというタンパク質と結合し、角膜上皮細胞を守ります。フィブロネクチンとは細胞の接着や増殖を促進するタンパク質で、傷を治す働きをします。
一日4回の点眼で使いやすい目薬です。

2)ジクアホソル

ジクアホソルは目の表面にある受容体に働き、ムチンという物質の分泌を促します。ムチンは角膜上皮と涙液層の接着剤の役目をしてくれます。
潤いとともに、涙の質、安定性を高めてくれる薬です。
1日6回の点眼ですが、ジクアスLX点眼は3回の点眼で同様の効果が期待できます。

3) レバミピド

レバミピドはもとはムコスタという製品名で知られた胃薬です。胃の粘膜を修復するのなら角膜上皮も修復してくれるのでは?と研究したところ効果があり、点眼薬となりました。
レバミピドにもジクアホソルと同様にムチンの分泌を促進し涙液層の質を改善し、また粘膜創傷治癒作用があります。
この点眼液は見た目は牛乳のように白く濁っています。よく振ってから1日4回の点眼です。
実はとても苦いので、時間がたって喉に降りてくると苦味を感じます。点眼した後は1分ほど目頭を押さえましょう。また点眼後1分ほどは視界が白くかすみます。
それでも、角膜の傷を治す力は強いので、私も日常の診療でよく処方します。

4) アバレプト点眼液

いよいよ、第4のドライアイ治療薬です。
今までの3剤が涙液層の改善を主体としていたのに対し、この点眼液の作用機序は全く異なります。痛みを感じるセンサーをブロックして、ゴロゴロ感を抑える薬です。細胞の表面には痛みを感じるイオンチャネルというものがあります。TRPV1というイオンチャネルはトウガラシの辛みや熱を感知するものですが、ここをブロックする働きを持ちます。この神経伝達をブロックすることで、目の不快感を和らげるという、新しい発想です。
一日4回の点眼で、懸濁液なのでレバミピドと同様、点眼直後は少しかすむので注意が必要です。

余談ですが、TRPV1の発見は、2021年のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。


(2026.7.8更新)


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