131.網膜⑦:加齢黄斑変性症:時々、片目でチェック
加齢黄斑変性症は黄斑部のすぐ下の脈絡膜に新生血管が生じる滲出型と、新生血管は伴わないが黄斑部に委縮を生じる委縮型があります。いずれも、物を見る一番大切な黄斑部が障害を受けるので厄介な病気です。定義は55歳以上で、
約1%の人に生じ、男性や喫煙者に多い傾向があります。
1)症状は?
黄斑前膜や黄斑円孔でお話したように、物が歪む、線が歪む、小さく見える、中心が見えないといった症状です。これは、黄斑部の病気に特徴的な訴えです。
2) 診断は?
先ず患者さんの訴えが何よりも大切です。ここで活躍するのが、やはりOCT検査です。黄斑部の下の脈絡膜に新生血管が出来ている、またそこから血液や水分が漏れ出して黄斑部が浮腫を起こしているのが認められます。3) 治療は?
現在は、ほとんどの症例がVEGF阻害剤の眼内への注射です。血管には血管内皮増殖因子(VEGF)という物質があり、血管を増殖させます。加齢黄斑変性症の原因は、脈絡膜に異常に出来た新生血管なので、硝子体内にVEGF阻害剤を注射し、原因の新生血管を招待させます。ただ、一度の注射では治りきらず、何回か注射が必要になる場合があります。委縮型の黄斑変性症は残念ですが、現在のところ治療法はありません。
4) 禁煙・時々、片目で見え方をチェック
私たちは、両目で物を見ていると意外に片目の異常に気づきにくいことがあります。時々片目で見え方に変わりがないかチェックしてください。喫煙は増悪因子です。ルテイン、β‐カロチン、亜鉛に抗酸化作用があり、予防効果が期待されています。(2021/1/06更新 )