134.近視進行抑制のトピックス
近視矯正の眼鏡の度数が-6.0D(ジオプター)以上必要な近視を強度近視といいます。日本では中学生で約10%という統計があり、近年増加傾向にあります。
強度近視は、網膜剥離や黄斑変性症のリスクにもなり、近視の進行を抑制できないかという研究が始まりました。眼科の雑誌で読んだ記事から抜粋してご紹介します。
1)なぜ近視が進むのか?眼軸長説
なぜ学童期に近視が進むのかという疑問については眼の長さ:眼軸長が長くなるからという説が主流です。通常、眼軸長は24mmですが、近くのものを見ようとするとその像は遠くのものを見ようとする時よりも網膜の奥に焦点を結びます。発達途上の眼球は近くのものに焦点を合わせようとして、網膜が伸展し、眼軸長が伸びるのではないかという説です。
ただし、近見作業が多くても近視が進まない児童もおり、どんな条件が働いているかはまだ研究の途中です。
2) 今、できること・屋外活動
今、屋外で活動することが注目をあびています。屋外活動が多いほど近視発症率が低くなることはエビデンスが得られています。また近業の程度が強くても屋外活動を十分取ることで近視発症率は抑制されることも報告されています。台湾では子供の近視の進行が問題になっていましたが、2010年から「天天戸外120(屋外で毎日120分)」計画が始まり成果が出ているそうです。
私が読んだ記事では、屋外活動がなぜ近視発症を抑制するかはまだ諸説があり不明、これから必要な時間、抑制に効果のある光線の強度や波長、屋外でどんな活動をしたら最も効果があるか、さらに研究が進められています。
今の学童はお稽古事で忙しく、なかなか2時間の外遊びは難しいかもしれませんが、学校の休み時間を有効に使って、外遊びをして欲しいものです。
ただし、これから夏になり気温・湿度が高くなったら熱中症に十分注意すること、つばのある帽子をかぶって遊ぶようにしてください。
(2021.4.07更新))