141.子供の弱視の治療
前回は、子供の弱視について書きました。
今回は、4つの原因それぞれにたいする治療法をお話します。
1)角膜や水晶体が濁っている場合
これを「形態覚遮断弱視」と呼びます。
角膜の濁りを取るのは角膜移植ですが、小さな子供に行うのはとても困難です。濁りが軽い場合は、視力の良い方の目(健眼)をわざとふさいで、視力の悪い方の目を使う訓練をします。これを健眼遮蔽をいいます。
水晶体の濁りは「先天性白内障」です。濁りが軽い例では、そのまま経過を見て、弱視には至らない場合がほとんどです。一方の視力の発達が遅い場合は、健眼遮蔽を行います。ただ、強い濁りがある場合では、赤ちゃんでも白内障手術を行います。手術で水晶体を取ってしまうと、網膜へのピント合わせができなくなるので、眼鏡がかけられる子は眼鏡を、赤ちゃんはコンタクトレンズを使い矯正します。
眼内レンズを入れる施設もあります。今後、長期のデータが増えていくとともに治療法が変わっていくかもしれません。
2)斜視の場合
1歳未満の乳児内斜視では早期に手術になる場合があります。目を動かす筋肉を外眼筋と呼び、内直筋を後方にずらし、外直筋を前方に縫い縮め、眼位が正面に来るようにします。強い遠視のために内斜視を起こすケースがあります。これは「調節性内斜視」と呼ばれ、きちんと合った眼鏡で矯正すれば、眼位は正面になり視力も発達します。
3) 強い近視、遠視、乱視の場合
しっかりと合った眼鏡をかけましょう。子供は自分から「見えない」と言うことはありません。ほとんどが3歳児健診や幼稚園・保育園の検査で指摘されて眼科を受診します。きちんと矯正すれば視力は発達します。眼鏡は治療のために使うものなので、「お風呂に入る時と、寝る時以外はしっかりかけてね」と伝えています。
4)片方の目に強い遠視や乱視がある場合
不同視弱視です。きちんと眼鏡を処方し、さらに健眼遮蔽をします。良い方の目をふさがれるのですから、お子さんには大変なストレスです。大変ですが、忍耐強く眼鏡の矯正と健眼遮蔽を続けていけば、視力は向上します。この時も「治療の眼鏡なので、お風呂の時と寝る時以外はしっかりかけてね」の声掛けが大切です。(2021.11.3更新)