142.ヘルペス角膜炎
私たちは知らないうちに、色々な病気にかかっています。その一つがヘルペスウイルスウイルス感染症です。
現在9種類の存在がわかっていますが、1型は知らないうちに子供の頃に無症状でかかっていることが多いのです。
ところが、ヘルペスウイルスは厄介なことに、一生、身体の神経節に住み続け、時々悪さをします。
大人になってから1型ヘルペスウイルスが悪さをするのが、口唇ヘルペスやヘルペス角膜炎です。今回は、ヘルペス角膜炎について書きます。
1)ヘルペス角膜炎
顔面の知覚は三叉神経(さんさしんけい)という知覚神経がつかさどっています。3つに枝分かれするので「三叉」です。この3つに枝分かれした1番の神経にいるヘルペスが暴れるとヘルペス角膜炎を起こし、3番の神経がいるヘルペスが暴れると口唇ヘルペスを起こします。
ヘルペス角膜炎は特徴的な形の角膜潰瘍を作ります。樹枝状角膜炎といい、木の枝のような形をして先端が少しふくれています。角膜を検査用の試薬で染色して青い光を当てると、特徴的な潰瘍が見られます。
もう一つの特徴は、角膜の知覚の低下です。患者さんは、痛みよりも、充血や異物感で受診することが多いです。
2)治療
ヘルペス角膜炎には、ゾビラックス眼軟膏という薬が良く効きます。ただ、半減期が短いので1日に5回つけてもらわないといけないので、患者さんには面倒な思いをおかけします。1~2週続けてもらうと潰瘍が治り異物感もなくなります。(202112.1更新)