はやり目(流行性角結膜炎)に注意(202510/8)NEWS
以前、何回かコラムに紹介していますが、最近、患者さんが多いので予防、診断、治療についてお話します。
1) とても感染力が強い
アデノウイルスによる接触感染で、とても感染力が強い病気です。感染した患者さんの涙にウイルスが排出し、感染が広がります。保育園内、学校、家庭内で感染が拡大します。充血やメヤニの症状が出た時は、手を良く洗う、タオルをそれぞれ別にして、感染を予防しましょう。目の症状に先立ち、喉の痛みや発熱を伴う「咽頭結膜熱」もあります。
最近受診した患者さんは、家庭内感染、保育園での感染が多い傾向です。
実は私自身が昨年春、感染したと思われ1週間、休診しました。ウイルスの検査は陰性だったのですが、充血、眼脂が強く、大事を取って人との接触を避けて過ごしました。
2)症状
感染から1週間程度の潜伏期間を経て、充血、メヤニ、涙が出る、眼痛、まぶたの腫れといった症状が出ます。私の場合、まぶたが腫れあがり目を開けるのも困難という日が2日間あり、辛かったです。
3)診断
確定診断はアデノテストという診断キットです。綿棒で結膜をこすり、展開液に移してテストプレートに滴下、約15分で結果が出ます。この検査は特異性が高く、ウイルスがいないのに陽性になる(これを偽陽性といいます)ことはありません。陽性が出たらウイルスに感染しているので、お子さんは充血が引くまで(約1週間から10日)お休みしてもらいます。社会人の方は休むか、人との接触は避けてもらいます。
ただ、このテストは陽性なのに陰性に出て逃げてしまう人(これを偽陰性といいます)が2割程度出ることです。その時は、感染の可能性もあることをお話して、感染を広げない予防をお願いしています。実は、私もアデノテストは陰性でした。ただ、症状が出る前に、感染した患者さんを診察していたこと、症状が激烈だったことから、仕事を休みました。
家族に同じ症状の人がいる、職場や保育園・学校で流行っているという病歴はとても参考になります。
4)治療法
残念ですが抗ウイルス薬は無く、自然治癒しかありません。約1週間から2週間が必要です。複合感染を防ぐために抗生物質の目薬を、炎症を和らげるためにステロイド点眼を用います。私もステロイド点眼で楽になりました。
後遺症で角膜に白い斑点状の濁りがでることがあります。この場合は、長めにステロイド点眼を使ってもらいます。
5)とにかく予防、後遺症にも注意
感染してしまった場合は、自己治癒を待つしかありませんが、とにかく周囲に感染を広げないことが大切です。実際に自分が感染してみると、とても辛く、また、休診で患者さんにご迷惑をおかけしました。
タオルを別にする、手を良く洗う、メヤニや涙はティッシュペーパーで拭いゴミを入れる袋も別にしましょう。うっかりどこかに触ったら、アルコールで拭いてください。
辛い症状、充血が収まり一安心と思った頃に、ぼやけて見えることがあります。おそらく後遺症の角膜混濁です。これは、ステロイド点眼で改善するので眼科を受診してください。私は、患者さんに良くなっても、ステロイド点眼を使い切ってくださいとお願いしています。
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